自覚しにくいからこそ、
早めの治療が重要 EARLY TREATMENT IS IMPORTANT
歯周病は他のお口の病気と比べても、自覚症状が少なく、症状の進行に気が付きにくい疾患です。気が付いた時にはあっという間に進行し、歯を支えている骨が大きく溶けていることが多いため、歯を失いやすいです。
歯周病が厄介なのは、一度進行すると元の状態に戻せない点にあります。虫歯とは異なり、歯周病によって失われた骨や歯肉は、人工物で補うことがほぼできないのです。だからこそ歯周病は、目立った痛みなどの症状がなくても早めに治療へ着手することが重要です。
PROGRESS 歯周病の進行と症状
軽度の歯周炎
歯肉の炎症に留まらず、歯根膜を含めた歯周組織に影響を及ぼし始めるのが、初期の歯周炎です。軽度の歯周病の具体的な基準は、歯槽骨か歯の根の約3分の1まで溶けた状態であり、歯周ポケットが4mmまで深くなった状態を指します。
この段階では痛みを感じないため気が付きにくいのですが、歯茎が赤く腫れ、歯磨きをした際に出血が起こるなどの症状が現れます。歯周ポケットが深くなると、ポケットの内側に歯垢が溜まりやすくなるため、より丁寧な歯磨きが必要になります。中等度の歯周炎
中等度の歯周病は、歯周ポケットの深さが4mm~6mmに達した段階を指し、炎症によって歯の根の半分まで歯槽骨が溶けている段階です。
歯の根が露出し始めているため、症状も自覚しやすいでしょう。
例えば、冷たいものや熱いものがしみる、歯肉の変色や出血、口臭、歯が浮いているような感覚、歯が揺れるなどが主な症状です。分かりやすい自覚症状が現れている場合、歯周病が大きく進行している可能性があります。可能な限り早めに、歯科医院で診察を受けることを推奨します。重度の歯周炎
重度の歯周病の基準は、歯周ポケットの深さが6mm以上に達することです。歯根の約3分の2の高さが溶けてしまっているため、歯茎が大きく後退し、歯が伸びたように見えます。
具体的な症状は、歯がグラグラと揺れる、硬い食べ物が噛みにくくなる、口臭が強くなる、口内の出血が多くなる、膿によるえぐみを感じるなどです。歯周病がさらに悪化すると、顎の骨にまで影響を及ぼすことになります。1本の歯だけでなく、より多くの歯を失うことになりかねませんので、できるだけ早く治療しましょう。
歯周病と全身疾患の関係
歯周病は、口内に蓄積した細菌による感染症です。症状が悪化すると、歯周病菌が出す毒素が歯肉の毛細血管から体内に入り込み、血液の流れに乗って全身へ悪影響を及ぼします。
糖尿病
歯周病菌が出す毒素はインスリンの作用を妨害するため、糖尿病に大きな悪い影響を与えています。
その反対に、糖尿病による免疫力の低下によって歯周病が悪化しやすいという相互関係があり、両方の治療を同時進行することが望ましいと考えられています。血管障害
歯周病の慢性化とは、口内で常に出血している状態のことを指します。
歯周病菌が出す毒素が歯肉の血管から体内に入り込み、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすリスクがあります。早産・低体重児出産
歯周病菌が血液の流れに沿って羊水に入り込み、出産のタイミングや胎児の成長に害を及ぼしているといわれています。
妊娠中はホルモンバランスの影響から歯周病の発症率が高くなるため、妊娠前からの予防が大切です。誤嚥性肺炎
口内に含まれる細菌数が多い状況で、唾液や飲食の誤飲が原因で、誤嚥性肺炎が発症するとされています。誤嚥性肺炎はご年配の方の死亡原因にもなっていますので、口腔内を清潔に保ち、細菌数を抑えることが重要です。
認知症
認知症の原因であるアミロイドβは、歯周病菌によって脳に蓄積される倍率が跳ね上がることが判明しています。慢性的な歯周病がある方は、ない方と比べると、認知症の発症リスクが1.7倍高くなったという報告もあり、注意が必要です。
METHOD 歯周病の主な治療法
検査・診断
歯と歯茎の境目にある歯周ポケットの深さや、歯肉の炎症の度合いを、プロープという器具を用いて測定します。測定結果を定期的に記録することで、歯周病の変化の評価を適切に行うことが可能です。一定期間ごとにレントゲン撮影を行うことにより、歯を支える歯槽骨に変化があるかどうかを確認します。
TBI・スケーリング
歯周病の進行と再発を防ぐためには、まず患者様自身がしっかりと口腔ケアをできるようになる必要があります。TBIでは、歯科衛生士が口内を確認して、患者様一人ひとりに合った歯の磨き方をご指導します。その後、磨き残し部分にできた歯石を、スケーラーと呼ばれる器具で除去するスケーリングを行います。
歯周内科
口内の歯周病菌の種類を位相差顕微鏡検査で調べ、検査結果に応じて服薬することによって、歯周病の原因を取り除く治療法です。服薬と同時に、殺菌効果のある洗口剤を使用して、口の中だけでなく身体の外側からも細菌やカビを除去します。
歯周外科
歯周病が重症化して歯周ポケットが深くなった場合、日々の歯磨きや歯科医院でのケアだけでは治療が難しくなります。その際には、歯茎を切ってめくり、歯根を露出させて深い部分についた歯垢や歯石を、目視できる状態で排除する歯周外科を行います。従来は抜歯を選択されていた歯も、歯周外科によって寿命を延ばせる可能性があります。
最新バイオテクノロジー治療
「ペリオウェイブ」とは LATEST BIOTECHNOLOGY TREATMENTS
当医学では、最先端歯周病治療へ光力学療法を導入しています
世界中で話題の最新バイオテクノロジー治療。それが、光化学殺菌によるペリオウェイブ・システムです。わずか2ステップの療法で、歯周ポケット内にある病原菌の細胞を破壊し、健康な歯周組織を回復します。インプラント周囲炎にも最適な治療法です。
- 痛くない
- 腫れない
- 短時間
歯周ポケット内にバイオジェルを注入し、レーザー先 (コールドダイオード) を 照射するPhoto Disinfection (光殺菌)です。「痛み」や「術後の腫れ」がありません。
悪玉バクテリアが
無くなると、健康な歯茎に
なり口臭もなくなります
光力学療法(PDT・・・Photo dynamic therapy)とは、薬を使わない光による殺菌システムです。
TREATMENT PDT治療で原因菌を殺菌
歯周病の現状
25歳以上の約80%の人が歯周病と言われています。歯周病は歯茎や骨に大きなダメージを与えるため、進行すると歯が抜け落ちてしまいます。また、人の口の中には約500種類以上の細菌が生息しています。
その中の数種類の菌が歯周病を引き起こし炎症が起こり始めます。従来、歯周病菌に対する処置法は抗生物質の投与が一般的でした。しかし、抗生物質は細菌に対し非常に有効ですが、長期使用により耐性菌が産生され、あまり効かなくなってしまうのです。PDT治療の原理
バイオジェルと呼ばれる染色液で歯周病菌を染めます。このバイオジェルは光感受性物質と言い、光を吸収すると化学反応がおこり活性酸素を大量に発生させることができます。この生体に安全な活性酸素(一重項酸素)は細菌を殺す特徴があります。
ほとんどの場合、1回~3回の処置で改善します。改善後も予防の為に6カ月おきの受診をお奨めします。「ペリオウェイブ」システムによる治療は保険外になりますので、詳しくはスタッフにお尋ねください。PDT治療の特徴
- 薬を一才使用しない
- 耐性菌が発生しない
- 全く痛みを伴わない
- 副作用が起こりにくい
- 手軽に何回でも処置できる
PDT治療の流れ
当院では、PDT治療にペリオウェイブ「ペリオウェイブ」システムを使用しています。ペリオウェイブは人体に安全で、熱による侵襲も無く痛みを伴いません。
バイオジェルを
歯周ポケットに注入無熱レーザーを
1分間照射死滅した菌を洗浄
インプラントと歯周病の
メンテナンスに有効
自分の歯と同じようにインプラントにも歯周病菌は発生してしまいます。せっかく埋めたインプラントもメンテナンスを怠ると周りの骨が溶けて抜けてしまうことがあります。一生使い続けるため、定期的にPDT治療によるクリーニングを受診しましょう。
矯正治療でワイヤーを装着中は、ブラッシングが行き届きにくくなり、歯肉炎等の症状が出ることがあります。定期的なPDT治療で衛生的な口腔内環境を保ちましょう。